11月からガソリン暫定税率廃止決定!でも軽油は対象外?価格差わずか5円の衝撃とその背景
ガソリン値下げが現実に!でも軽油は据え置き…?
ついに、11月1日からガソリン暫定税率が廃止されることが決まりました。これによってガソリン価格は1リッターあたり25.1円下がる見込みです。
クルマを使う人にとっては大きな朗報ですが、ちょっと待ってください――物流の要であるトラックが使う軽油は、今回の税率廃止の対象外なんです。
「なんで軽油は据え置きなの?」という声があちこちから上がっています。実はここには、税金の種類や使い道にまつわる複雑な事情が隠れているんです。
ガソリン暫定税率廃止の流れ
8月1日に始まった臨時国会で、野党8党が共同で「ガソリン暫定税率廃止法案」を提出しました。
これが成立すれば、ガソリンに上乗せされていた暫定税率25.1円がなくなり、1リッターあたり25.1円の値下げが実現します。
ガソリンスタンドでの価格がガクッと下がるのは間違いありません。
ただし、この法案には軽油にかかる「軽油引取税」の暫定税率廃止は含まれていません。
軽油引取税とは?なぜ残るのか
軽油引取税は地方税で、軽油1リッターごとに本則税率15円と暫定税率17.1円、合計32.1円が課税されています。
この暫定税率は1990年代初め、道路特定財源を確保する目的で導入されたもの。当初は「一時的」とされていましたが、2009年に道路特定財源が一般財源化されても、課税は継続されてきました。
もし軽油の暫定税率を廃止すれば、自治体の歳入は年間およそ5000億円減ると試算されています。
地方財政への打撃を避けるため、今回は見送られたわけです。
政治家・業界団体の声
日本維新の会は「物流コスト抑制には軽油の暫定税率廃止が不可欠」として、2026年度から軽油も含める二段階減税案を提案。
国民民主党の玉木雄一郎代表も「軽油抜きでは物流業界の負担軽減にならない」とSNSで訴えています。
日本トラック協会も以前から「物流の99%はトラック輸送に依存している。軽油価格の負担軽減は物価対策そのもの」と、軽油暫定税率廃止を強く要望しています。
特に中小運送業者にとって燃料コストは死活問題。値下げは切実な願いです。
自治体の反対理由
自治体側の事情はシンプルです。軽油引取税は重要な自主財源で、特に地方部では道路の維持管理や公共交通への補助金など、生活インフラを支える財源になっています。
ある県の財政担当者は「5000億円の減収は深刻。代替財源なしでは地域のインフラ維持が難しくなる」と懸念を示します。
つまり、物流業界にとっての減税は自治体にとっての収入減――この綱引きが続いているのです。
価格差はたったの約5円に
仮に11月1日にガソリン暫定税率が廃止されれば、7月28日時点の全国平均価格で試算するとこうなります。
レギュラーガソリン:174.0円 → 158.9円(-25.1円)
軽油:154.1円(変化なし)
差額は約20円から一気に4円80銭に縮まります。
もはや「軽油=安い」というイメージが崩れるレベルで、普通車のディーゼルユーザーからも不満が出そうです。
今後の焦点
ガソリン値下げは確かに家計にプラスですが、軽油が据え置かれることで、物流業界やディーゼル車ユーザーには不公平感が残ります。
政治的にも、自治体財政と物流コストのバランスをどう取るのかが大きな課題です。
軽油暫定税率廃止をめぐる議論は今後も続きそうです。次の税制改正や臨時国会の動向に注目が必要でしょう。

